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2010年7月25日「Life 夏の1冊」未読メール特集1

「夏の一冊」の放送&外伝で読めなかったメールの中から、
セレクトしてご紹介していきます。

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魚の声 29才会社員 埼玉県所沢市

思春期―それは、何に対しても背伸びをしたくなる時期。
それは、高校生がわざわざ分厚くて難解そうな本を手にとり、
「図書館でコレを読んでるオレ、カッコイイ」と勘違いする時期。
そして、そんな犯罪的行為をしたとしても、情状酌量の余地が
認められる時期。
これより先の文章は、そんな元高校生がフェルナン・ブローデル
地中海』との出会いを自己弁護する試みです。

それまで「泣くよウグイス平安京」が歴史の方法論だった高校生は、
暇に飽かして入った図書館で犯罪的イタさを遺憾なく発揮した結果
この歴史書と出会い、そして度肝を抜かれました。
なぜならそれは、事件を時系列に並べたり人物の行動を記述したり
といった、それまでの一般的な歴史書の記述法ではなく、
むしろそうした事件や行動を可能にした背景にこそ着眼点を置いて
書かれていたからです。

その土地の経済、社会、宗教から、山の険しさや海の豊かさ、
果ては人々が何を食べていたかといった、様々に異なる要素。
そうしたひとつひとつを丁寧に分類・分析し、それらが人間の行動
をいかに可能にし、そして制約してきたのかを描き出したこの本は、
読み手の貧弱な知的枠組みを粉砕するのに十分でした。

本を読み終えたとき、あまりの疲労にフラフラになりながらも、
叫び出したいような走り出したいような、なんだか妙な感覚が
全身を支配していたことを覚えています。

もちろん所詮は高校生、内容の一割も理解できていなかったに
違いありません。しかし彼は、そのときはじめて「ものを知る喜び」
に触れたのだと思います。

甲子園のサイレンがひぐらしの鳴き声に変わるまでずっと図書館に
通いつめ、熱に浮かされたように読みふけったこの『地中海』ほど、
夏の一冊にふさわしいものはありません。


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てんぴゅ~る麻希

夏に読む本なら、新田次郎の山岳小説です。

最近では、『週刊ヤングジャンプ』でコミカライズされているので、
知っている人も多いかも。
真夏の暑い日に、冬山を登山する話を読むと、涼しい気分になります

※『孤高の人』は、ラジオネーム「かにかま」さんからも一票いただきました。
僕も子どもの頃、父親の影響で新田次郎など山岳小説が好きでよく読んでいました。
『孤高の人』もそうですが、特に悲劇的な作品に妙に惹かれて、山で命を落とした
クライマーたちを描いた実録小説『山に逝ける人々』(春日俊吉)なんかも愛読していました。(黒幕)


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サンボマイスター

僕の「夏の一冊」は、サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』です。

小学生のときに、吉田秋生さんの『バナナフィッシュ』にハマり、
そのタイトル元になった作品が収録されているということで、
夏休みの読書感想文用に手に取りました。結局、難しすぎて感想は
別の本で書いたのですが(笑)、
その作品、「バナナフィッシュにうってつけの日」の不条理で気怠い雰囲気
にはカブれまくりましたねー。後年、書かれた社会背景や、サリンジャーの
来歴に考えが至るようになってから再読したときに、また違った印象を持った
のも印象的でした。

というわけで、「夏の一冊」といえば、サリンジャーの放つ
都会的な憂鬱の匂いを思い出すのでした。

余談ですが、本に限らずに選ぶなら、夏といえば『エヴァンゲリオン』と
『AIR』(keyのゲームの)です(笑)。


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ゆみ 25歳 女性 千葉県柏市

わたしの夏の一冊は、おそらく中学校の時に学校の図書館で借りた
ひとりぼっちの不時着』という外国の児童向け小説です。
離婚した両親の父親に会うため、夏休みに一人で小型飛行機に乗ったら
カナダで不時着、パイロットも死んでしまって助かったのは自分だけ、
持っているのは手斧だけ、という状況でサバイバルする少年の話でした。

不可抗力でサバイバルせざるをえない状況になってしまった少年が、
きっと不時着したときはなまっちろくてよわよわっちかったのに、陽に焼けて
腕の筋肉がついてゆくような様が思い浮かぶようで、夏休み中何度も読み返しました。
わたし自身はそうとうに一人ぼっちな感じの暗い思春期を送っていたのですが、
少年のまぶしさと自分がひとりぼっちの陰と陽のように思っていた気がします。

今であれば、辺見庸さんの『もの喰うひとびと』が夏に読みたくなる本です。
読むと、ひとりぼっちで地球の上に投げ出されてみたくなります。
ひとりを肯定するような本が多く思い浮かぶ気がするのは、夏だとひとりぼっち
でもあんまり寂しくない気がするからなのかなー、と思います。


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コウキ 15歳の高1

夏といえば恋の季節、というわけでおすすめの恋愛小説は、
佐藤多佳子『黄色い目の魚』です。

鎌倉を舞台に、絵の好きな少年と少女が互いにひかれて行く様子を
書いた作品ですが、この手の小説によくあるベタついた甘いシーンなどがなく、
むしろこざっぱりとした、鎌倉の海のようにきれいな文章の作品です。

二人が意識しあう様になるまでの過程も本当に自然で、
恋ってこんなゆっくりした物の筈だよね、なんて感じたりしました。
蛇足ですが小学6年の時の遠足の行き先も鎌倉で、すきだった女の子と
同じ班になって由比ヶ浜に行った事を思い出して感傷にひたるはめになりました。
最近の恋愛小説になじめない方に読んで貰いたい作品です。

※15歳にして恋の感傷...でもなんかわかるなその感じ。
中学生の頃に小学生時代を振り返って「もうあの頃のように無邪気ではいられない」
とか勝手に思ったり(笑)。(黒幕)


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名前なし

私が夏というと思いだすのは橋本紡の『空色ヒッチハイカー』です。
東大志望の高3の主人公が無免で、車を運転し、ヒッチハイクをする人を
片っ端から乗せていきながら九州に行き、東大をでて農家に嫁いだ兄を
連れ戻しに行く話なのですが、主人公に自分を投影し、中二病になれる
作品です(笑)

人と人の繋がりについて考える作品でもあると思います。


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