夜の散歩 24歳 大学院生
カート・ヴォネガットの小説『猫のゆりかご』に出てくるシンプルな名言。
ナイス、ナイス、ヴェリ・ナイス
浮浪者もハンターも歯医者さんも女王様もみんな同じ機械の中、
の後に続く言葉です。小説の中に出てくる宗教、ボコノン教の教義から。
この一文に深い含蓄があるような気はしないんだけど、シンプルな英語の
肯定の言葉はなんだかありがたくて意味があるような気がしません?
オノ・ヨーコさんの 「yes」 とか。
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おみかん姫 30歳
名言とはちょっと違うかも知れませんが、私の心に刺さっている
小説の一節を紹介したいと思います。
橋本治さんの連作短編集『サイモン&ガーファンクル・グレイテスト・ヒッツ・プラス1』
の中の「明日に架ける橋」の作品のラストの部分で、主人公の車椅子の少年が
次のようにつぶやくのです。
ぼくはひとりで思っているんだ。いつかぼくだって、
誰かになにかしてあげられるって。外を見ながら練習するんだ。
誰かがぼくの前に来た時、なにかをしてあげられそうな
誰かが来た時、"ウン"って笑いかけてあげられるように。
雨は静かに流れている。ぼくはいつでも思うんだ。
誰かに何かしてあげたいって。
誰かに何かをしてあげられる、という感覚は本当に大きな救いになると思います。
この小説でも主人公の少年の世話をするボランティアの大学生が出てきますが、
むしろこの大学生の方が少年に支えられているような気がします。