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2010年8月 9日 アーカイブ

2010年8月 9日

2010年7月25日「Life 夏の1冊」未読メール特集2

おーいお茶・玉露 茨城県取手市 33歳 男性

「夏の一冊」ということで、私が挙げたいのは梅崎春生の『桜島』です。
夏というと、どうしても「戦争」の記憶が浮かび上がります。
私は直接戦争を体験した世代ではないのですが。

この作品については様々な評価があるかと思いますが、私がこの機会に
改めて読み返してみて面白いと思うのは、終戦に至るまでの一兵卒の行動が、
決して「緊迫した」とか「ぎりぎりの」とかいった形容が当てはまらない形で
書かれているということです。

主人公は、暗号兵として桜島にいた著者自身が重ね合わされていますが、
避けられない運命としての「死」を常に意識していて、「美しい死」を夢想しつつ、
その「死」が間違いなく目前に迫ったと思われたときに、霹靂のように終戦が
訪れる様が、まるで私小説のように描かれています。

日本の戦争にまつわる作品としては、大岡昇平の「野火」なども有名ですが、
ああいった分析的な、堅固な骨格をもったいわゆる「戦争文学」とは
対照的なもののように思います。

しかも、この作品は発表こそ終戦の翌年の9月ですが、執筆は終戦直後の10月
あたりだったようで、普通に考えたら戦争体験自体を相対化できそうにない時期に、
あくまで「小説」として作品化されていて、それが今読んでも十分に鑑賞に耐え、
なおかつその後の戦争観(特攻兵を聖化したりとか)がまだ生まれていない時期に
書かれた素直なリアルさとでも言うべきものが漂っています。

ある意味では感傷に流れすぎ、無防備すぎる点もあるのかも知れませんが、
同じ著者の、中年になった男が戦中に兵隊として駐留した地を再訪する「幻化」
(著者の遺作)とともに、読んでみて欲しい作品です。

※島尾敏雄の『出発は遂に訪れず』などと並ぶ戦争文学の傑作ですね。印象深い1冊。(黒幕)

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紘一 千葉県流山市 71歳 男性

太陽の季節』。
高校三年の時に読み、
まねしたが大失敗。
そんな思い出しかないのが悲しい。

※何を真似して大失敗したんでしょうか?障子を突き破れなかったとか...(黒幕)


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麦茶

私の夏の一冊は庄司薫さんの『ぼくの大好きな青髭』です。
都会っ子の夏の冒険といった内容ですが(だった気がします。)、
内省的な「行動できない派」のメンタルもある主人公で、
行動派でも何もしない派でも全中高生におすすめです。

同一主人公のシリーズもので他に3冊ありますが、
どれも捨てエピソード無しの傑作だと思います。

なんかLifeっぽい気もしますし、感想文も書きやすいんじゃないでしょうか。

※和製『ライ麦畑~』の代表格。『赤頭巾ちゃん気をつけて』の
 「若さは一つの困惑なのだ」という三島由紀夫の推薦文もいいですね。(黒幕)


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ストクロ

僕の夏の一冊は、石田衣良さんの『池袋ウェストゲートパーク』です。
高校の夏に、この本を読んだのがキッカケで、読書が好きになりました。

田舎出身の僕には、都会の風景や状況は、この本に出てくる感じなのかな
と思っていました。


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珈琲とうどん 女性

学生時代は夏といえば長い夏休み。夏休みといえば旅ですね。 
暑いときに 暑さを堪能するのは夏の醍醐味です。

うだるような暑さのなか、クーラーをつけずに扇風機を回して、
冷えたアイスコーヒーでも飲みながら読みたいのが、椎名誠さんの
インドでわしも考えた』。シーナさんが素直に驚いたインド体験を、
高校生のときに面白おかしく読んで以来、憧れの旅先でした。

念願かなって、のちにインド体験したときは、もわっとした暑さと
慣れない食べもののおかげで体調を崩し、ただひたすら気持ちが
わるかった印象 が強いので、いつか再訪したいです。

沢木耕太郎さんの『深夜特急 インド、ネパール編』や
藤原新也 『印度放浪』と読み比べも。


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