次回のLifeは
「クルマ社会の過去・現在・未来」
5月23日(日)深夜25:30~28:00
出演:charlie(鈴木謙介)、速水健朗、柳瀬博一、仲俣暁生、森山裕之
ゲスト:白井聡(政治学者)
ウェブ中継を実施しますので、ラジオをお持ちでない方も、パソコンと
インターネット環境があればリアルタイムでトークを聴くことができます。
サイト右上の「スペシャルなお知らせ」をクリックしてください。
ただし、著作権の関係で音楽は聴くことができません。
ラジコ→http://radiko.jp/では音楽も聴けます。
※TBSラジオのラジコのサービスエリアは東京、神奈川、千葉、埼玉です。
※今回もUstreamを実施する予定ですが、(株)ソラノートのそらのさん
が来られないので、前Lifeディレクターのあべがやってみます。
うまくできるかわかりませんが(画質はそらのさんよりだいぶ落ちます)、
あくまでも補助的なコンテンツということでご了承ください。
●Ustの中継先は<こちら>から!
さて今回の企画の発案者、サブパーソナリティの速水さんからも
気合の入ったメッセージが届きました。
速水さんの提唱する「文化系としての車語り」もふくめて、様々な方向から
Lifeなりに「クルマ社会の過去・現在・未来」をトークしたいと思います。
charlieの前口上→http://www.tbsradio.jp/life/2010/05/523.html
と合わせてご参照のうえ、ぜひメールをお寄せください。
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サブパーソナリティの速水健朗です。
電車オタクにも、乗り鉄、撮り鉄、時刻表マニアといろいろいるように
車マニアにもいろいろいます。改造マニア、外車マニア、峠攻め系、
ヤンキー系の室内装飾・他面ディスプレイ系などいろいろあり、
レースゲーム好き、痛車系など非ヤンキー系の車マニアの分野もあります。
今回、僕が番組の中で提唱したいのは文化系としての車語りです。
例えば、1950年代のロックンロールの歌詞にはたくさん車が登場します。
チャック・ベリーは学生生活やドライブインやハイウェイを歌い、実際の
車種名を歌にした『マイ・マスタング・フォード』という曲も作っています。
60年代にはサーフィン・ホットロッドというジャンルが生まれたし、
その後もウィルソン・ピケットは『マスタング・サリー』を歌い、
小林旭は『自動車ショー歌』でシボレーやグロリアについて歌い、
ユーミンはベレGや中央自動車道やセリカを歌い、
ギターウルフは『環七フィーバー』を歌い、クレイジーケンバンドは
フェンダー・ミラーのセドリックやマスタングGTを歌っています。
映画に目をやると、50年代のヌーベルバーグでは『勝手にしやがれ』
『ウィークエンド』からわかるように、ゴダールは大の自動車好き。
70年代のニューシネマ期には『激突』、『バニシング・ポイント』
『ダーティ・メリー・クレイジー・ラリー』など、多くのロードムービーが作られ、
それ以降も『パリ、テキサス』、『テルマ・アンド・ルイーズ』、『カウガール・ブルース』
『デス・プルーフ』とロードムービーの傑作はたくさん作られています。
『トラック野郎』シリーズは、日本が誇るロードムービーですね。
また、刑事物映画・ドラマにも車は付きもの。
『ダーティ・ハリー』、『ブリット』、『スタスキー&ハッチ』、『マイアミ・バイス』、
そして渡瀬恒彦の『タクシードライバーの推理日誌』などなど。
僕が特に好きだったのは、80年代のアメリカの青春映画です。父親の車を
こっそり借りて、ナンパに行くというのが定番でした。これは通過儀礼の物語です。
近年の作品『グラントリノ』ではアメリカの繁栄がグラントリノというフォード社製の
自動車に託されています。自動車は、時には成熟を意味するアイテムとなり、
アメリカの繁栄の象徴になります。
また、日本では車マンガは一大ジャンルです。
『サーキットの狼』から『よろしくメカドック』『シャコタン☆ブギ』『湾岸ミッドナイト』...etc
僕も『頭文字D』から、東京に価値を置かない地方の若者の在り方を論じたことが
あります(拙著『ケータイ小説的。』)。
これだけたくさんの車に関わる作品が生まれていることからもわかるように、
車は現代人の生活と大きく結びついています。大量消費・大量生産の生活様式は、
20世紀の初頭にフォード社が売り出したT型フォードから始まりました。
また、ニュータウンでの郊外型生活やショッピングモールも車社会の産物です。
自動車が産みだした社会のことは車社会化、モータリゼーションと呼ばれています。
車と社会の関わりは時代によって変化します。若者の車離れもそのひとつの要素。
当然、作品に登場する車の描かれ方も変化するでしょう。
いまは車は"憧れ""夢"ではなく、一般消費財になりつつあります。
この4月の『NAVI』の休刊などは、それを示しています。
かつて、ジェームス・ディーンならポルシェ550スパイダー、石原裕次郎なら
メルセデス・ベンツ300SLみたいに、スタート愛車とワンセットのイメージが
ありましたが、ディカプリオの愛車はプリウスだというのもまさに象徴的です。
23日の『文化系トークラジオLife』では、そんな、文化系車語りの延長で、
過去と現在の自動車カルチャー、ロードカルチャーを語り、モータリゼーション
の現在形や、未来についても考えてみたいと思います。なので、映画に出てきた
こんな車に憧れた、こんな車マンガが好きだといった、文化系車語り系のメール
なども期待しています。
ちなみに、僕の自動車映画ベストは洋画では『アメリカン・グラフティ』。
邦画では『幸せの黄色いハンカチ』ですね。近年では渋谷のスクランブル交差点を
ドリフトで走る『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』とクイーン・ラティファが
タクシーの運転手を演じる『TAXI NY』がよかったです。その辺をおさらいして
本番に臨む予定です。よろしくです!
メールはぜひお早めに!→ life@tbs.co.jp